2022.06.29 最終更新
大卒と専門卒の就職率、初任給、年収、生涯賃金の違い
4年制大学であれば就職活動のときエントリーできる企業の幅が広いです。
専門学校は専門性に特化した勉強を学ぶため、就職先の幅は狭いですが就職率が高いことも。
大卒と専門卒の違いを知っておくことは将来の転職時に有利に働くことがあります。
就職率、求人票、初任給、年収、生涯賃金の違いをみていきましょう。
・応募資格は「専門学校 卒業予定の方」「4年生大学 卒業の方」といった学歴の記載も
・大卒は幅が広い。専門学校は幅が狭いが特定の職業に特化している
・求人は多数あるため、自ら行動することで可能性が広がる
専門卒と大卒における就職率の違い
文部科学省の平成30年度大学等卒業者の就職状況調査によると、
専門卒の就職率 | 99.6% |
大卒の就職率 | 97.6% |
専門卒と大卒では約2%ほど就職率で差があり、就職率は専門卒の方が高い結果となっています。
参照:平成30年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/05/1416816.htm
専門学校の場合、特定の分野において即戦力になれるよう知識やスキルを学びます。
その結果、専門学校が懇意にしている就職先へと就職していくため就職率が高いです。
ただし、特定の分野に絞っているため就職先の選択肢は絞られています。
学んでいく過程で「別の分野に興味が出てきた」、「一般職に就職したい」となった時は学校をやめるなど大きな行動も必要に。
実際、入学者数と卒業者数に36,724人の差があり、それだけの人が違う道へと進んでいます。
入学者数 | 267,562人 |
卒業者数 | 230,838人 |
また、専門学校によっては就職率の打ち出し方に差があり、
・アルバイトもカウントしている
としているケースも。
専門学校の就職率は「※就職した人数を就職希望者で割った数」で表されることが一般的。
どんな分野で働きたいのかを明確にすることが、専門学校での就職を成功させる秘訣となります。
専門卒と大卒における求人票の違い
就職率だけでなく求人票にも違いを見つけることができます。
求人票の募集要項には、職種や業務内容を始めとして、応募資格や給与と賞与、諸手当や福利厚生などの記載があります。
特に注目すべきなのは応募資格で、学歴に「専門学校 卒業予定の方」、「4年生大学 卒業の方」の記載も。
【求人票サンプル】
[応募資格]
・四年制大学卒業の方
・学部卒以上
基本的に「4年生大学 卒業の方」と書かれた求人票に専門卒の方は申し込むことができません。
申し込んだとしてもはじかれる可能性が高いです。
このように学歴を選考基準の一つとしている企業は多くあります。
今まで特定の分野で働いていた方が別の分野で働くことを考えた場合、段階的なキャリアアップを考えるべきです。
まずはあなたでも就職が可能そうな求人を探しましょう。
その求人も、目的の企業と似た分野の企業の求人であることが必要です。
そのように段階的に経験を積み重ねることが自分の描く働き方につながります。
専門卒と大卒における初任給の違い
初任給は2万円以上の差があります。
全体の平均値、男性の場合、女性の場合、それぞれどれくらい違うのか見ていくと
男性と女性を含めた専門卒と大卒の平均初任給
大卒:210,200円
専門卒:183,900円
男性における専門卒と大卒の平均初任給
大卒:212,800円
専門卒:184,700円
女性における専門卒と大卒の平均初任給
大卒:206,900円
専門卒:183,900円
参照元:厚生労働省 令和元年の学歴別初任給
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/19/01.html
毎月2万円の差。これは大きな差ではないでしょうか。
1年間で約24万円の差。
専門卒の人より一か月分多く給料をもらっている状況と言えます。
2万円という金額差はあくまで平均値です。
将来の人生設計を考え、業界ごとの年収の相場などを調べておくこともおススメです。
平均年収ランキング(業種別の平均年収/生涯賃金)
https://doda.jp/guide/heikin/gyousyu/
専門卒と大卒における年収の違い
厚生労働省の調査によれば
専門卒 | 約280万円 |
大卒 | 320万円 |
と出ています。
また、年収の金額差は初任給や2年目の時点でも開きがありますが、30歳を境に更に大きくなる傾向です。
30代前半では、
専門卒 | 約350万円 |
大卒 | 450万円 |
40代には、
専門卒 | 480万円 |
大卒 | 650万円 |
その差は150万円にもなるため、50代や60代になる頃にはもっと開いていてもおかしくないです。
年代別の年収で見た時も、専門卒と大卒の差は広がる結果に。
お金が全てではないです。
自分に合った人生設計を考えることが大切になります。
専門卒と大卒における生涯賃金の違い
男性における生涯賃金は、
大卒 | 約3億円 |
専門卒 | 約2億6000万円 |
女性の生涯賃金は、
大卒 | 約2億5000万円 |
専門卒 | 約2億2000万円 |
参照元:独立行政法人労働政策研究・研修機構
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2019/documents/useful2019_21_p314-358.pdf
就職率だけでいえば、専門性が活かせて即戦力になる専門学校を卒業した方が有利です。
ところが初任給や年収、そして生涯賃金を比較するとその差は歴然で、5,000万円近い開きがあります。
全ての人が当てはまるわけではありませんが、統計データとして専門卒と大卒で生涯賃金に差が出ているため、
「専門分野の技術だけしていれば十分な給料がもらえるだろう」
と考えて、ただ目の前のことだけに集中して情報収集しないまま過ごしていくことは危険です。
また日本の場合、就職活動において35歳の壁があります。
企業としては、35歳の求職者に今までの経験や実績、その分野での専門性を求める傾向に。
35歳になってから他の業界への転職は非常に難しいです。
専門分野での仕事内容から一般職の仕事内容に転職を考えるのであれば、20代のうちに人生設計を考え行動しましょう。
大卒と専門卒学校、就職に有利なのはどっち?
就職に有利なのはどちらかといえば、職業によるというのが答えとなります。
基本的に大卒は幅が広い選択肢があって、選べる道が多いのがポイントです。
専門学校は幅が狭いものの、特定の職業に特化している分、就職に有利で卒業してから早く実務に取り組むことができます。
同じ業界内だけの選択肢では今のようなコロナ禍では苦しいです。
旅行業界、ホテル業界に努めている人は給料削減、企業の倒産と非常に苦しい状況が続いています。(2021年時点)
コロナ禍で苦境の旅行会社、倒産・廃業が前年から倍増 初の年間200件ペースで過去最多更新確実に
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000306.000043465.html
大卒は幅が広いことによって、広告代理店からメーカーへ、保険から物流へ、のように他業種への転職もしやすくなります。
幅を絞って専門職に特化するのか、幅広く仕事を考えるのか、将来を見据えて選択することが大切です。
専門学校にいるうちに考えておくべきこと
専門学校では特定の分野に特化して学ぶため、高い就職率を誇ります。
その反面、秋口から一般への就職活動へと切り替える専門学校生もいます。
早めに説明会に参加して、専門学校で学んだ知識や経験が活かせる就職を目指すのが理想的。
企業側も優秀な人材を確保したいため、早期に求人を公開します。
そのため、ゆっくりしていると求人枠がなくなってしまいます。
ただ映像、アニメは枠が狭い傾向にあるため、専門卒といっても特別有利とはいえません。
このような分野においては、専門卒であってもこだわり過ぎず一般職にも目を向けた方が、結果的に就職できる可能性は高いです。
秋口になって慌てて就職先を考えだすのは注意。
自ら説明会に参加する、先生に相談するといった早い段階から積極的に行動しましょう。
卒業後の就職イメージをハッキリしていない方は、秋口ごろから一般職を考え始める傾向に。
イメージが漠然としている人は、将来設計を考える方法として、現時点のイメージで構わないので、
・結婚をしたいかどうか
・どんな老後を送りたいか
紙に書き出してみましょう。
まとめ|受け身ではなく自分から行動することが大切
就職は専門学校卒と大卒で向き不向きが変わってくるので、希望の就職が実現しなければ、学歴や環境のせいにしたくなるのも分かります。
ただ、大卒だから就職が難しい、専門学校卒だから就職先の範囲が狭いと言っていても、状況が変わるわけではないです。
大切なのはいつまでも受け身のままでいることではなく、自ら行動して可能性を広げてチャンスを掴むこと。
可能性や能力があるのに活かさないのはもったいないですし、学校を卒業しても就職しないのは、自分の価値や強みを捨てているのと同じです。
専門学校では就職に役立つ専門知識を教えてもらえるわけですから、卒業したら就職に活かすことがおススメ 。
一般職を目指すなら就職支援サービス「Actbiz(アクトビズ)」という選択肢もありますし、いくらでも就職の可能性を高めることができます。
変化を求めたり就職を希望するのであれば、状況を変えるためにも行動しよう。
一般職ならActbiz(アクトビズ)を含む教育カリキュラムで学ぶルートが有利で、その他の分野においては専門学校を卒業して就職するのが正攻法となりそうです。