2022.05.10 最終更新
社内ニートの過酷な真実|仕事はないけどお金がもらえるって楽じゃないの?
ニートは教育も勤労も行っていない人たちの通称ですが、社内ニートは社内にいるため、本来のニートとは異なります。
社内にいるのにニート化してしまう人の特徴や社内ニートが待ち受ける問題点、そこからの改善方法を解説いたします。
1.社内ニートって何ですか?
社内ニートは、会社に所属はしているが、さまざまな理由で本来の仕事を担当させてもらえない社員を指します。
具体的な社内ニートの定義は以下の状態をあげることが多いです。
・仕事をする意思があるが、1日の大半は働いていない
・他の社員に比べて仕事の量・質ともに劣るが、給料は保障されている
・本来の仕事では活躍できずに、簡単な仕事のみ与えられている状態
「自らの意思で仕事を避けている人」のことを指すこともあります。
社内ニートになる原因は大きく分けて2種類あります。
1.仕事への取組み方や能力面など「本人」の問題
2.業務配置や指導面など「会社側」の対応
社内ニートはマイナスに捉えられるケースが多いのですが、このように会社側にも責任があるので一概に悪いと決めつけられません。
いろいろな要素が重なり合って、社内ニート状態を作り出しているといえます。
2:社内ニートになる人の特徴
会社側の影響ももちろんですが、社内ニートになりやすい人の特徴はある程度共通しているともいわれています。
どのようなものがあるのでしょうか。
・当事者意識がない
社内ニートになりやすい人の特徴として、当事者意識がないことが挙げられます。
何事も自分の力で行う意識が低く、常に人に頼る傾向があります。
「自分には関係ない。」
「何か問題が起こっても、他の人が対処してくれる。」
などと考えて、仕事に主体的に取り組む意思がないので、成長が全く望めません。
当事者意識がないままでは、いつまでも他人の助けがないと仕事ができないままに。
上司も自分がやってしまうか他の人に任せようと考えるようになり、いつしか「社内ニート」になってしまいます。
・不明点を自分で調べずに、すぐ質問する
分からない内容をすぐに質問する傾向がある人は、仕事の覚えが悪いです。
不明点を自分の力で調べるからこそ、教わったときに内容をしっかり吸収できます。
質問に答える側も、手とり足取り教える必要がなく、ピンポイントで回答を伝えることが可能です。
いつまでも仕事を覚えられない、覚えようとする姿勢が感じられないと、どうしても周囲からの信頼は失ってしまいます。
徐々に仕事を任せられなくなり、社内ニートになる可能性は高いでしょう。
・苦手な仕事を避ける
苦手な仕事を避ける傾向の人は、現状維持の思考があります。
自分のできる範囲で仕事さえしていれば、失敗もなくとりあえずは会社に貢献していると考えます。
現段階で対応できないレベルの仕事を覚える意思がないので、スキルアップは望めません。
レベルがそれほど高くない仕事は、新人や若手に経験させるケースが多いので、徐々に仕事を失います。
困難は自分を成長させるチャンスと前向きに捉え、苦手な仕事にも自分からぶつかっていく気持ちがなければ取り残されてしまうでしょう。
・失敗しても自分の非を認めない
成長する人ほど、しっかり反省して失敗を学びにします。
失敗を学びに変えるからこそ、成長のヒントをつかめます。
言い訳が多いタイプに多いのですが、失敗しても自分の非を認めようとしません。
失敗したときに、自分の意見を主張することも大切です。
しかし、単に自分を守るためだけの主張では反省という名の学びがないので、同じようなミスや失敗を繰り返してしまいます。
指摘を素直に受け入れ、失敗を次に活かす姿勢がない人は、結果を出せないでしょう。
・周囲とのコミュニケーションを避ける
社内ニートになりやすい人は、周囲とのコミュニケーションを避けがちです。
仕事は1人だけで完結することなく、周囲との連携で成り立っています。
人間関係が円滑になることで、業務のパフォーマンスが上がり、成果につながります。
社内ニートになる背景として、人間的に嫌われてしまうケースがあります。
コミュニケーションを避けると、徐々に周囲との距離感ができ、最終的には孤立してしまうでしょう。
社内での孤立は、結果に大きく影響します。
周囲に対して積極的に歩み寄る姿勢が、仕事を行う上で必要です。
・自分の適性に対する理解がない
理解している自分自身の適性は、周囲の認識とズレている場合があります。
たとえば、自分は話すのが得意だから営業向きだと思っていても、他人は全く別の印象を持っているかもしれません。
社会人の経験が少ないうちは、自分の適性を理解していない場合が多いです。
明らかに向いていない仕事でも、「いつか自分はできるはず」と無理に納得させてしまうこともあります。
結果が出なくても軌道修正を図らずに、同じ場所・同じ方法で頑張り続けるのは望ましくありません。
社内ニートになってしまう人は、総じて主観で物事を把握し、自分自身の適性を客観的にみようとしない「頑固な一面」もあります。
・会社側が適切な業務配置や指導を行っていない
社内ニートになってしまうのは、会社側が原因の場合があります。
社員の適性や能力に応じた業務配置を行わず、適切な指導も行っていない場合、十分に実力を発揮できません。
単純な会社側の都合
管理者の実力不足
会社側と社員との人間関係の悪化
など、適切な業務配置や指導を行えていない原因は、さまざまです。
社内ニートになってしまうのは、決して本人だけの問題と断定できません。
3.社内ニートにありがちな行動
・スマートフォンをいじる機会が異常に多い
スマートフォンをいじる機会が、不自然に多い場合は社内ニートの可能性があります。
普通に仕事をしていれば、業務中に使用する機会はそれほど多くはありません。
会社が携帯の使用許可をしていても、業務中の連絡を除き、使用しても休憩時間ぐらいのものです。
携帯を不必要にいじるのは、仕事がなくて暇だからでしょう。
周りの人からしたら「暇しているんだろうな」と見えてしまうため、社内ニート化が悪化してしまうことに。
・パソコンに向かっている時間が不自然なぐらい多い
社内ニートは、仕事をしていない事実を周囲に悟られたくありません。
そのため、コミュニケーションもとらずに、パソコンに向かって座っている時間が不自然に長いのが特徴です。
パソコンに向かっていれば、周りからは仕事をしているように見えます。
自分の席に座り、ネットサーフィンをしているだけで時間が経過するので、精神的な逃げ道もできます。
ただし、自分の趣味や興味ばかりネットサーフィンしていると後々自分の首を絞めることになることも。
・トイレや喫煙に行く頻度が多い
社内ニートは仕事がないので、いかに暇つぶしをするかを考えています。
トイレや喫煙の頻度と長さに注意すれば、暇つぶしかどうかを見分けられます。
普通の業務量を割り振られていれば、ある程度は時間を惜しむ必要があるはず。
休憩の頻度と時間が他の社員に比べて多ければ、業務量が少ないか、やることがない可能性が高いです。
パワハラが取り上げられるケースが多いので、会社側は社員の休憩に対して容易に指摘しづらいところもあります。
以前よりも、業務中にトイレや喫煙に行きやすい空気ができたのは確かでしょう。
会社の目も届かないので、暇つぶしには適した場所です。
・終業時刻と同時に帰ろうとする
社内ニート状態にある人は、終業時刻と同時に帰り支度を始めるケースが多いです。
仕事もありませんし、普通の社員と同じ熱量で仕事に取り組んでいないので、当然といえば当然といえます。
中には終業時刻の5分前から身支度を始める社内ニートも。
会社にいるのが苦痛の社内ニートにとって、終業時刻は待ち遠しいのです。
4:社内ニートの問題点
・常に周囲の顔色を伺い、毎日を過ごさなければいけない
他の社員に比べて、少ない仕事量、レベルが劣る仕事内容。
ほとんどが短時間で終わる仕事なので、社内ニートは就業時間中に暇な時間帯が多いのは確かでしょう。
頭を悩ませながら必死で仕事をしている他の社員。暇でも給料をもらえる自分。
社内ニートである自分と他の社員を比較することで、自己嫌悪に陥るのは当然です。
何度も自己嫌悪になっているうちに、常に周囲の顔色を伺うようになり、社内の人間関係で徐々に自由な振る舞いができなくなるでしょう。
人間関係の悪化によって、周囲に対して気軽に話しかけづらくなります。
社内ニートを脱するには、分からない点を積極的に質問して解決することが第一歩です。
コミュニケーションが困難な状態では、その一歩を踏み出しづらいでしょう。
・実務経験が積めず、転職で苦労する
転職は実績重視なので、社内ニートは転職で苦労する傾向があります。
本来やるべき仕事が与えられない状況では、実務経験が積めません。
社内ニート状態が長く続き、実績やスキルが乏しいと、年齢に比例して転職は難しくなります。
経歴によっては、転職エージェントなどプロのサポートも受けられずに、不利な条件で転職活動を行わなくてはいけません。
もし転職を少しでも考えているなら、実績を積み重ねるため早々に社内ニートを脱出するか、30歳前には転職活動を始めることをおすすめします。
社内ニートを脱する方法として、下記2点の方法があります。
1.今の職場で結果を出せるように努力する
2.年齢ができるだけ若いうちに、新たなスキルを身に付けて転職する
時間に比例して、社内ニートでいることのデメリットは大きくなるので、できる限り早急に方向性を変えるべきです。
・時間を持て余してしまい苦痛を感じる
仕事が忙しいのは精神的に辛いですが、それ以上に暇すぎるのも苦痛です。
他の社員が懸命に働く中、就業時間のほとんどを何もせず過ごすのは、苦痛以外の何ものではありません。
周囲からの批判的な視線も少なからずあるので、スキルアップの時間に充てたくても、それすらできないのが現実です。
社員ニートになると、社内で身動きが取れない感覚を味わうでしょう。
・メンタル疾患の原因を作ってしまう
メンタル疾患は、時間外労働の多さなど、一般的に自分のキャパを超えた忙しさが原因でなる場合が多いです。
しかし、逆に暇な状況、仕事がない将来的な不安から引き起こされる場合もあります。
社内ニートは楽だからよいと考える人がいる一方、多くの人は精神的な苦痛を感じています。
同じ仕事をしてないのに給料をもらっている、周囲からの批判、簡単な仕事ばかりでスキルが上がらない焦り。
仕事が与えられないことで、多くの心理的な負担がかかります。
メンタル疾患は初期症状のうちに対処しないと、どんどん悪化します。
スキルがない状態では転職も難しいので、社内ニートは合わない環境で我慢して働く選択肢を取らざるを得ません。
これから先の将来、定年まで働くことを考えたうえで今から行動しておくことが大切です。
5.社内ニートの脱出方法
・プライドを捨て、仕事に懸命に取り組む
仕事を与えてくれない会社に対して、不満を抱く気持ちは理解できます。
しかし、社内ニートを脱するには、気持ちを入れ替えて仕事に励む必要があります。
会社に貢献するため、自分の目標を達成するために、今の会社に入社したはずです。
目標を見失ったら、初心を思い出しましょう。
仕事が辛くても、この経験には必ず意味があると思えます。
すぐには難しいかもしれませんが、できる社員だと思われたいプライドを捨て、仕事に懸命に取り組みましょう。
・仕事の苦手分野を分析して克服する
現状を変えるために必要なのは、今の仕事で何が苦手なのかを明確にすることです。
結果が出ない理由を理解していなければ、努力するための方向性が分かりません。
これまでの業務を振り返り、苦手な分野と具体的な解決策を書き出してみましょう。
その中から優先順位を決め、すぐに解決できそうなものから少しずつ克服していきます。
自分だけで苦手分野の分析が難しければ、キャリアコーチの利用を検討してもよいでしょう。
キャリアコーチは具体的なキャリアプランの作成だけではなく、仕事や人間関係の相談にも乗ってくれます。
カウンセリングを行う中で、あなたの潜在的な能力や価値観を探り、問題解決の方法を探ります。
プロの力を借りることで、より精度の高い分析ができるでしょう。
・仕事や職場環境で合わない点を相談する
社内ニートになってしまうのは、会社側にも責任があることを説明しました。
努力しても仕事で全く成果が出せない場合、業務配置が適切ではない可能性があります。
仕事で困っている点や職場環境で合わない点を伝えるなど、会社側に自分から相談しても問題ありません。
具体的に伝えて、自分の悩みを理解してもらう努力をしましょう。
相談した結果、現在の職場環境や業務体制で成果を出すのが難しければ、指導方法の改善や担当業務の変更、部署異動を検討してもらえる可能性があります。
ただし何度も相談すると逆効果になる恐れがあるので、十分に相手の都合を考えましょう。
面談の機会を定期的に設けているのなら、自分から相談を持ち掛けるよりも悩みを聞いてもらいやすいので、相談するタイミングとして適切です。
・メモをこまめに取り、業務マニュアルを作成する
社内ニートから脱するには、仕事を問題なく行えることを証明する必要があります。
最低限、教わった仕事はミスなく実行できなければいけません。
一度教わった仕事内容や指摘事項はメモを細目に取りましょう。
メモした内容は、しっかり業務でアウトプットできることが重要です。
メモをもとに業務マニュアルを作ると、アウトプットをミスなくスムーズに行えます。
過去に取ったメモは、貴重な情報源です。見返すことで新たな気づきもあり、成長のきっかけを得られます。
・指示待ちではなく、積極的に仕事をもらいにいく
社内ニートに限らず、指示待ちでは仕事の経験値が増えません。
仕事をしていない時間帯をできるだけ作らないように、自分から積極的に仕事をもらうようにしましょう。
最初はできる範囲の仕事しか与えられないかもしれません。
意欲が認められれば、徐々に信頼を獲得でき、責任のある仕事にステップアップできる可能性があります。
社内ニートから、信頼を獲得するのは時間がかかるでしょう。
それでも、周囲は見ていないようで、仕事に対する姿勢をしっかり評価してくれています。
1日のうちで暇な時間帯を作らないように、積極的に仕事をもらいにいくことから始めてみましょう。
・自ら提案する
社内ニートや社員に限らず、本来、仕事は与えられるものではありません。
会社の上層部や役員、上司といった人が仕事を創り出しています。
そして、その創り出された仕事をさまざまな社員が担当しているのです。
社内ニートとして時間があるならば、自ら調べて上司や会社に提案してみることが脱出につながるかもしれません。
実績が出れば会社も気になってあなたを放っておくことができなくなります。
もし、それでもあなたを放っておくような会社であれば、その実績を持って転職活動に動き出しましょう。
まとめ
社内ニートになる原因は、大きく分けて2点あります。
1.仕事に取り組む姿勢など、本人起因による場合
2.社員の適性を理解した業務配置を行っていないなど、環境起因の可能性
とくに適性には個人差があるので、必ずしも今の仕事で結果を出せないケースもあります。
社内ニートになっているのが環境起因の場合には、会社側に環境の改善を相談することも大切です。
全く取り合ってくれない場合は、自分で解決する方法しかありませんが、一向に状況が改善しない場合は転職も検討することをおすすめします。