2022.04.15 最終更新
【決定版】ニートのすべて|ニートの由来から、割合、実態、脱出方法まで完全解説
1.ニートの語源や由来を完全解説
・ニートの語源とは
ニートは、
「Not in Employment、Education or Training」
の頭文字を取って「NEET」と表記されます。
元々はイギリスの労働政策において使われるようになった言葉で、1999年にイギリス政府が発表した『Bridging the Gap』で使われたのがはじまりです。
直訳すると、「就業、就学、職業訓練のいずれもしていない人」という意味になります。
イギリスは1980年大前半には、若者失業率が20%を越えていたといわれております。
1990年代後半当時も、16~18歳人口の9%にあたる16万1000人がニートにカテゴライズされ、社会問題となっていました。
・ニートという呼び名が日本で定着した経緯
日本でニートという言葉が使われ始めたのは2003年だといわれております。
厚生労働省の研究機関がニートという言葉を紹介したといわれており、2004年にはニートに関する書籍も発売されました。
書籍名 | ニート フリーターでもなく失業者でもなく |
出版社 | 幻冬舎 |
著者 | 曲沼美恵、玄田有史 |
発売日 | 2004/07/08 |
書影 |
同2004年にニートはテレビや新聞でも広く使われるようになります。
また、当時流行していたインターネットの掲示板サイトでも多く使われるようになり、WEBの世界で定着。
当時は書籍「電車男」が流行していたこともあり、オタク文化を表す言葉の1つとして認識されていた側面もありました。
このように書籍発売~インターネットやメディアでの定着、オタク文化の流行も相まって、ニートは2004年の流行語大賞にもノミネートされ、一般に認知される言葉となります。
・日本でのニートの定義
日本でのニートの定義として、内閣府が毎年発表している「子供・若者白書(旧青少年白書)」にて、ニートに近い属性の言葉として「若年無業者」という言葉があります。
若年無業者の定義は、「15~39歳の非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)のうち、家事も通学もしていない人」とされており、ニートとほぼ同義の概念とみていいでしょう。
2017年までは「15~34歳」が若年無業者に定義する対象となっておりましたが、昨今のさまざまな状況を鑑みて、定義が変更されたようです。
イギリスの定義・日本の定義を合わせると、「就業、就学、職業訓練のいずれもしていない15~39歳」をニートと定義できます。
・ニートの年齢を超えるとどうなるのか?
では、ニートの対象年齢を超える人は何と呼ばれるのでしょうか。
比較的よくつかわれる表現の一つに高齢ニートが存在します。
高齢ニートとは、一般的には「就業、就学、職業訓練のいずれもしていない35歳以上の人」を指しています。
(しかし、前述したとおり、2018年より若年無業者の定義が15~39歳まで拡大したため、高齢ニートの定義も40歳以上としてよいかもしれません)
高齢ニートに関してはこちらの記事でも詳しく解説を行っています。
・高齢ニートが増加した背景
高齢ニートが増加した背景として、古くは1990年代半ばから2000年代前半にかけてのバブルの崩壊があります。
この時期はさまざまな企業が新卒採用を大幅に削減しており、現在の高齢ニートの一部は、この時期に就職活動に失敗した人だといわれております。
このあたりの世代の方をまとめて氷河期世代と呼ぶことも多いです。
2000年代以降は働き方の多様化が進み、派遣社員やフリーターとして働く人の姿も多く見受けられるようになりました。
しかし、派遣切りや雇い止めなどで急に仕事を失ってしまう人も多く、高齢ニートが増加する一因となっています。
また、2020年~2021年はコロナウイルスの影響により、多くの人が休業や会社の倒産、社員やアルバイトの解雇などで職を失いました。
コロナウイルスも、高齢ニートを増加させた大きな要因だといえるでしょう。
・SNEPとは
「Solitary Non-Employed Person」
の略で、直訳すると「孤独で無職な人達」という意味、つまり孤立無業者になります。
NEETを提唱した東京大学の社会科学研究所教授である玄田有史氏が2012年に提唱した言葉です。
ニートとは違い和製英語のため、海外では使われていない言葉です。
定義としては、「20歳~59歳までの、学生ではなく無職であり、未婚で普段1人で生活している人、または肉親以外に接点がない人」を差します。
家族と同居している場合は家族型孤立無業者、1人で生活している場合は1人型孤立無業者と呼びます。
ニートとの違いは年齢層の幅の他に、他者や社会との関わり方の違いが挙げられます。
SNEPと呼ばれる層は、家族以外との関わりがなく、孤独である状態です。SNEPは、大人の引きこもりとも呼ばれることがあります。
2.ニートの違いを完全解説
ニート・フリーター・ひきこもりは混同されるケースもありますが、明確な違いがあります。それぞれの定義を解説します。
・ニートとは
前述したとおり、ニートは「就業、就学、職業訓練のいずれもしていない15~39歳」を指します。
しかし、この中でも就業を希望してハローワークに出向いているなど、就業への活動を始めている人は求職者にあたり、ニートには該当しません。
就業、就学、職業訓練のいずれもしていない15~39歳のうち就業意思がない人、もしくは就業意思はあるが何も行動に移していない人をニートと呼びます。
・フリーターとは
フリーターは和製語であり、「フリーランス・アルバイター」もしくは「フリー・アルバイター」の略語だといわれております。
厚生労働省は、フリーターを以下のように定義しております。
15~34歳で、男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者とし、
① 雇用者のうち勤め先における呼称が「パート」又は「アルバイト」である者
② 完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者
③ 非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で家事・通学等していない者
つまり、現在就業していなくても、「パート・アルバイト」として働くことを望んでいる人も含めてフリーターと定義されます。
ニートとの違いは、就労意思の違いだといえるでしょう。
また、15~34歳という年齢も定義されています。厚生労働省の定義上は、35歳以上のアルバイト・パート雇用での労働者はフリーターには定義されません。
しかし、一般論としては35歳以上でも、アルバイト・パート雇用での労働者はフリーターと呼ばれることが多いです。
・ひきこもりとは
厚生労働省が発表した政策レポートでは、ひきこもりは以下のように定義されております。
ひきこもりになる原因として精神疾患が挙げられることもありますが、同レポートでは「単一の疾患や障害の概念ではなく、様々な要因が背景になって生じる」とされております。
また、内閣府が2015年に発表した「若者の生活に関する調査報告書」によると、引きこもりは以下のように定義されています。
6ヵ月以上にわたって
・趣味の用事のときだけ外出する
・近所のコンビニなどには出かける
・自室からは出るが、家からは出ない
・自室からはほとんど出ない
このことから、自室や自宅から出ない人だけではなく、近所への買い物・趣味や用事への外出などを1人でおこない、家族以外との交流がない状態の人も引きこもりと定義されます。
前述したSNEPの、年齢の枠を外したものが引きこもりだともいえるでしょう。
また、ニートに定義される人の内、家族以外との交流が6カ月以上断たれている人はひきこもりにも当てはまることになります。
3.ニートの人口や割合を完全解説
日本の人口におけるニートの人口や割合はどれくらいなのでしょうか?
・総人口におけるニートの割合
総務省統計局が発表した労働力調査(詳細集計)によると、2021年時点での若年無業者数(15-39歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない人)は75万人となっております。
過去10年間の若年無業者数の推移は、以下のグラフのとおりです。
2020年の若年無業者数は87万人となっており、記録がある1995年以降では、過去最多となっておりました。
2020年はコロナウイルスの影響で職を失った方や休職となった方が多く、それらの方の一部が2021年に社会復帰したと考えられます。
総務省統計局が発表した人口推計の結果と概要によると、2021年10月1日時点での日本の人口は1億2550万2千人となっております。
この2つの数値から計算すると、総人口におけるニートの割合は0.59%となります。
・新型コロナウイルスの影響に関して
2020年にニートの人数が一気に跳ね上がった要因として、コロナウイルスの影響に言及しました。
特に影響があったとされるのが飲食業やアパレル業などの店舗サービスです。
これらは求職中のニートでも比較的採用されやすい職種であったため、新型コロナの影響を受けた際は求人が大きく減少しました。
さらにアルバイトスタッフを中心に雇用が安定していない層の多くが職を失ってしまうことになりました。
2021年に入りニートの数は減少したとはいえ、その影響は未だ大きなものがあるといえるでしょう。
・年齢層別のニートの割合
各年齢層別のニートの割合は、以下の表のとおりです。
年齢層 | 総人口 | 若年無業者 | ニートの割合 |
15~19歳 | 558万人 | 11万人 | 1.9% |
20~24歳 | 626万人 | 16万人 | 2.5% |
25~29歳 | 637万人 | 14万人 | 2.1% |
30~34歳 | 655万人 | 17万人 | 2.5% |
35~39歳 | 735万人 | 17万人 | 2.3% |
また、女性のニートに関しての割合はこちらの記事にて詳しく解説を行っているので、ぜひ参考にしてみてください。
・統計調査から見えるニートが減らない要因
過去10年間のデータを見ても、コロナウイルスの影響が色濃く表れた2020年以外は、ニートの人数はほぼ横這いだといえます。
ニートが減らない要因としてどのようなものが考えられるでしょうか。
総務省統計局が発表した「平成29年就業構造基本調査」によると、仕事に就きたいけれども就業活動をしていない理由として多く挙げられた理由は以下のとおりです。
・病気・ケガのため……33.6%
・知識・能力に自信がない……11.9%
・急いで仕事に就く必要がない……7.3%
・学校以外で通学や資格取得の勉強中……6.3%
・探したが見つからない……6.3%
・希望する仕事がありそうにない……4.9%
この調査結果のうち、一部は下記のように前向きにとらえられる要素が考えられます。
病気・ケガのため → 症状が改善されたら就業する意思がある
学校以外で通学や資格取得の勉強中 → 就労に向けて行動している
急いで仕事に就く必要がない → 保護者から養ってもらって生活していると考えられる
それ以外の、「知識・能力に自信がない」「探したが見つからない」「希望する仕事がありそうにない」などは、雇用環境の問題なども考えられます。
ちなみに現在の雇用環境でニートが就職しにくい原因として以下のようなものがあげられます。
◇ニートの継続期間が長いので雇ってもらえない
20代のときからニートを継続している場合は、社会復帰は難しくなるのが現状です。特に正社員で雇用されることは難しいといえます。
ニート期間が長引けば長引くほど、履歴書の空白期間も伸びてしまいます。
病気やケガなどしょうがない事情の場合があるとはいえ、求人を出している企業に採用予定人数以上の応募があれば、競争は避けられません。
書類選考で他者と比較されると、空白期間が長いニートは不利になってしまいます。
かつては企業が教育して社会人として育成するなどの道もありましたが、長い不景気で日本の企業体力も落ちており、そこまで面倒が見切れないと即戦力を求めるケースが増えています。
結果としてニートが長引けば長引くほど、雇ってもらうことが難しくなるという悪循環にハマっている方が多いことも予想されます。
◇スキルや経験、実績がない
一般的に、年齢が上がれば上がるほど、就職や転職には相応のスキルを求められます。
職種に応じた専門的なスキル以外にも、「コミュニケーションスキル」「マネジメントスキル」「問題解決能力」なども求められるでしょう。
仕事に就いていない期間があるニートはスキルを持っていないことが多いのが現実だといえるでしょう。
スキルを持ち合わせていなくても、他社からも評価いただける経験や実績を活かせれば就職の可能性は広がります。
ただ、ニート期間が長い人ほど経験も実績も持ち合わせておらず、八方ふさがりになりがちです。
◇企業が求める人材像と逆行している
企業が求める人材像は企業によりさまざまあるかと思いますが、大きく分類すると以下の2つになるはずです。
- スキルはなくても若さがあり、伸びしろがある人材
- 若くはなくてもスキルがあり、即戦力となれる人材
もちろん一概にはいえませんが、上記のような人材が求められる傾向は強いはずです。
30代のニートはそのどちらにも該当しない場合が多く、就職活動が難航し、ニート期間を長引かせてしまうのです。
・ニートが社会に将来的に与える影響
ニート人口がこのまま大きく減らなかった場合、将来的に社会に大きな影響を与える可能性があります。
どのような側面で社会に影響を与える可能性があるのでしょうか。
◇未婚問題
ニートは収入がない状態なので、ニートのまま結婚を考える人は皆無といっていいでしょう。
未婚問題は、そのまま少子化問題に直結します。
少子化が加速していくと、地域の活性化や経済活動、高齢者の介護問題など、広い範囲で影響が出ることが予測されます。
すでに新型コロナウイルスの影響もあり、2021年の出生率は過去最低を記録しています。
◇労働人口の減少
ニートの増加は、労働人口の減少に直結します。
労働人口が減少すると、国民総生産が落ちることが予想され、経済状況の悪化から就職難・リストラなどに繋がることが懸念されます。
◇納税問題
ニートは収入がないので、納税することができません。
また、経済状況の悪化や、国民総生産の下降が起きるとニート以外の国民の納税額も下がります。
国の財源が不足してしまうと、これまで税金で賄われていた福祉や教育などにも影響が出る恐れがあります。
◇生活保護
ニートが増加すると、生活保護の受給者が増えることが予想されます。
しかし、同時に納税額が下がって国の財源が不足することも予想でき、福祉の需要と供給のバランスが崩れてしまう恐れがあるといえるでしょう。
・社会が取り組むニート対策
上記のような社会問題が深刻化することを防ぐため、国や自治体によるニート対策が施行されております。社会が取り組むニート対策の代表例を紹介します。
◇サポステ
サポステとは、地域若者サポートステーションの略称です。
厚生労働省から委託を受けて運営されており、ニートや引きこもりのような就業してない15歳~49歳を対象に支援活動をおこなっております。
単に職場紹介をするだけではなく、個々の「働いていない理由」に向きあい、「働きだす力」を引き出すサポートをしてくれるサービスです。
「コミュニケーション講座」「ビジネスマナー講座」などさまざまな講座やセミナーを開催し、働くことに対する自信を芽生えさせるための支援をしております。
就職決定後も、職場に定着するまで面談や講座を通じてサポートし、社会人として1人立ちできるまで徹底的に向きあってくれるのです。
サポステに関しては後述するニートを脱出する方法でも詳しく解説しております。
◇公共職業訓練・求職者支援訓練
ハローワークの登録者を対象とし、就業支援をおこなう国が運営する公的機関があります。
公共職業訓練:雇用保険受給者が対象
休職者支援訓練:雇用保険を受給できない求職者(受給が終わった方も含む)が対象
それぞれ無料で受講でき、全国各地のハローワークの窓口で申し込みや相談ができます。
◇トライアル雇用助成金
トライアル雇用助成金とは、職業経験・スキル・知識などの不足により就労が困難な人材に対して、国からの助成金を受けた企業が一定期間試行雇用します。
そして、その後の常用雇用へと繋げる政策です。
トライアル雇用助成金を受ける企業は、ハローワーク・民間の職業紹介事業者などから紹介を受けます。
トライアル雇用助成金が適用となる条件は下記のとおりです。
① 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
② 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている※1
③ 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業※2に就いていない 期間が1年を超えている
④ 55歳未満で、ハローワーク等で担当者制による個別支援を受けている
⑤ 就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する※3
※1 パート・アルバイトなどを含め、一切の就労をしていないこと
※2 期間の定めのない労働契約を締結し、1週間の所定労働時間が通常の労働者の所定労働時間と同等であること
※3 生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、 住居喪失不安定就労者、生活困窮者
引用元:トライアル雇用助成金のご案内
トライアル雇用助成金の制度を使って企業に雇用された場合、3カ月間の使用期間を通じて、労働者は業務や企業への理解を深められ、企業は労働者の適性を判断できます。
よって労働者と企業のミスマッチを防ぐことに繋がるのです。
2021年3月からはコロナ渦の特例として、未経験業種への就職を希望する求職者も、トライアル雇用助成金の対象として追加されております。
4.ニートの実態や生活を完全解説
・ニートの一日
ニートは実際どのような生活を送っているのでしょうか。もちろん、人によってその生活はまちまちではあります。
まずは一例として、ニートの大まかな一日の流れをご紹介します。
◆ニートの一日(あくまで一例です)
◇起床
ニートは起きる時間が一般的な社会人と比較して遅いケースが多いです。
だいたい午前10時以降に起きる人が多く、昼夜逆転生活を送っていたりすると12時以降になるケースもしばしば。
原因としては夜遅くまで起きていること、引きこもりがちな生活のため体内時計がずれていること、誰もとがめないためつい二度寝してしまうなどが考えられます。
◇食事
家族とも生活リズムが違うため、食事なども時間が外れたころに一人で食べるケースが多いです。
起床時間が遅いため朝食と昼食をまとめて取ってしまう、スナック菓子などの間食で済ませてしまうケースなどがあります。
また、栄養バランスもあまり考えず、レトルトやインスタント食品中心になってしまう場合も。
◇買い物
少し小腹がすいたなどで、コンビニに買い物に行ったりします。
ただし、近隣に住む知人とはできるかぎり顔を合わせたくないと考えるため、深夜などの人が寝静まったタイミングに外出することも。
基本的に遠方へは自分の趣味などの目的がない限りでかけることはほとんどありません。
◇SNS巡回
一日、特にやることがあるわけではないのでSNSを巡回するなどで時間をつぶします。
よく使うSNSとしてはTwitterやYoutube、Tiktokが多く、Facebookなどはあまり使用しません。
◇ゲーム
時間があまりあるため、ソーシャルゲームやオンラインゲームなどの時間をかけてプレイするゲームにのめりこみやすいです。
これらのゲームは社会に接点がないニートにとって、数少ない他人との交流の場にもなりやすいです。
PCなどを持ち合わせている場合はPCでゲームなどを行うことも多いですが、ハイスペックPCなどは金額的に持ち合わせることができないので、やや型落ちのPCや家族や知人のお古のPCを使っているケースが多いです。
◇読書
読書は小難しいことを考えずに済む漫画などが中心です。
しかし、単行本を買う金銭的な余裕や、置く場所がないケースも。
そのため電子書籍の試し読みを駆使したり、読み放題などで出来る限り金銭や場所をとらないで読書を楽しむ人も増えています。
全体としてニートの生活のほとんどが時間をつぶすための趣味要素で占められており、あまり有意義な時間が送れていないことが多いようです。
・ニートの服装
ニートの服装として選ばれることが多いものはどのようなものでしょうか。
まず男女問わず全体の傾向として、目立つタイプのものは選びません。単色で灰色や黒などの暗色系を好みがちです。
室内ではスウェットやジャージなど、そのまま寝間着として使用しても問題ないものを着用することが多いです。
これは一日の大半をベッドの上で過ごすためでもあります。
そもそも外出することが少ないので、外行きの服装をあまり持ち合わせていない場合もあります。
これが逆にニートが外で就職を目指そうとした際のハードルになります。
面接に行くための服を買いに行く服がない状態も冗談で済まされない場合もあります。
・ニートの部屋
ニートは自身に無頓着なケースが多いため、部屋も同様なケースが多く見受けられます。
ニートの部屋の特徴としてありがちなものには、どのような部屋があるでしょうか。
◇全体的に暗い
日光に苦手意識があるため、カーテンやシャッターを閉めっぱなしにしているケースが見受けられます。
電気もいちいちつけたり消したりが面倒なので、基本的につかいません。
PCのディスプレイや、スマホのあかりだけで生活を行っているケースも。
◇空気がよどんでいる
カーテンを開けないということは、もちろん窓も年中閉まったままです。
換気もほとんど行われないので、部屋の空気はいつもよどんだ状態です。
ひきこもりに近い状態だと出入り口のドアも必要最低限しか開閉されないので、においも独特なものになっていきます。
◇部屋が汚い
ゴミの収集の時間までに起きられないので、ゴミ袋をためっぱなしにしている場合があります。
また、換気や掃除をおこたっているため、全体的にほこりっぽくなりがちです。
布団やベットもクリーニングをほぼしないため、汚れが目立ちます
・ニートの家族関係
家族関係もまたそれぞれであったりします。ニートでも比較的仲が良い家族関係を築けている人もいれば、絶望的なまでに関係が悪い人も存在します。
ただ、全体を通して言えるのはどの家族もこのまま本人がニートを続けることを良しとしている人は少数です。
そのため、ニート本人ではなく家族がその解決方法をもとめて外部の機関を頼るケースも見受けられます。
・ニートの生活
そのほかニートの生活でよくある内容などはこちらの記事でも詳しく解説を行っています。
5.ニートが直面する問題を完全解説
・ニートになりたいと考える人も多いって本当?
20 代後半層の職業意識における15年の変化として、男性、女性ともに「できれば仕事をしたくない」という項目が上昇しています。
参考資料:大都市の若者の就業行動と意識の分化「若者のワークスタイル調査」
「できれば仕事をしたくない」という若者が増えている傾向にあります。
ニートに対しての世間的なイメージも、昔ほど厳しいものではなくなってきているのも一つの要因ではないでしょうか。
お金を持っている両親がいるおかげでニート生活を送っている子供がテレビ番組の特集として取り上げられたケースもあります。
また、最近では「ネオニート」という言葉も誕生しています。
ネオニートはニートから派生した比較的新しい言葉で、2005年の「給与明細」というテレビ番組で紹介されたことにより、この言葉が広まったといわれています。
ネオニートとは、就職していないにも関わらず十分なお金を稼いでいる人のことです。
・ニートが直面する現実の問題
税金、確定申告、保険、親が死んだ場合など手続き面での問題をそれぞれ解説。
ニート状態の経済状況について、「あなたの家の暮らしは?」という調査結果があります。
ニート状態の経済状況
「ふつう」47.1%
「やや苦しい」28.0%
「やや余裕がある」10.8%
「非常に苦しい」8.9%
「余裕がある」3.3%であった。
引用資料:ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究報告書
ニート期間が長くなるにつれて苦しくなるという傾向が見られます。
・ニートでも支払わなければいけない金銭問題
ニート生活でお金をもらってないとしても支払わなくてはいけないものはたくさんあります。
◇国民年金保険料
国民年金は、国の社会保障制度の一つです。
所得に関係なく日本に住んでいる20歳~60歳未満の人であれば、国民年金への加入が義務付けられています。
◇国民健康保険
国民健康保険は、医療保険制度です。
所得に関係なく日本に住んでいる人であれば、全ての人に課税される税金となります。
◆免除制度や納付猶予制度のオススメ参考ページ
国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html
国民年金関係届書・申請書一覧
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kokunen/kokunen.html
特別な事情がないにもかかわらず、国民健康保険料を滞納すると滞納期間に応じた措置が国からきます。
まず初めに督促状が郵送で送られてきます。
督促状が届いたのに払わず無視し続けると催告書が送られてきたり、電話や訪問といった処置がとられます。
◇(持ち家の場合)固定資産税
親から家を相続した場合、あなたの家になるため家賃はかかりません。
しかし、資産を持っていることになるため、固定資産税がかかってきます。
また、あなたの家となるため、何かトラブルがあった際の対応にお金がかかることも。
よくあるトラブル。
・水回りが詰まった。
・エアコンが動かない。
・台風で雨どいが壊れた。
ニートで家にこもっていると気づきにくいですが、将来さまざまな現実問題が起こり得ます。
・ニートは辛くて孤独で大変
ニートでいることは確かに楽です。
しかし、ニート生活を続けるためには親のサポートや生活するためのお金が必要になります。
ニート生活を続けていると、会話する相手は家族だけとなり、社会との溝を生みます。
始めは溝程度だった社会とのつながりも、時間が経てば経つほど深くなり、やがては断絶へと。
断絶がひどくなると、社会との断絶だけでなく唯一の話し相手である家族とも断絶するケースは少なくありません。
その結果、うつ病などになります。
それでも親は自分の子供のために行動します。
わが子のために動き続ける親、しかしひとたび家に帰ればニートとして家に居続けるわが子。
何も改善が見られない毎日が続いた結果、親が精神面で病んでしまうケースも。
始めの頃は孤独を感じなかったニート生活も、時間が経てば孤独感が増していきます。
そして、ひとたび社会との断絶をつくってしまうと復帰することが困難になることがあります
参考資料:社会的排除にいたるプロセス
・ニートの末路はどうなるのか。
ニートの末路はどうなるのでしょうか。
こちらの記事は40代という若さで孤独死した事例です。
男性はアーティストになる夢を追っていました。
しかし、親からは「出ていけ!」と言われ、一人暮らしを始めることに。
始めの頃はさまざまなアルバイトをして食いつないでいましたが、それもうまくいかず精神的に追い詰められ、次第に家にひきこもるようになります。
どんなつらい状況になっても親を頼ることはできず、そして、うつ病に。
最後まで誰かに頼ることができず、亡くなってしまいました。
6.ニートの脱出方法を完全解説
ニートから脱出したいと考えたとしても、そもそも何をすればいいかわからない人も多いかと思います。
こちらの記事でも紹介をしていますが、ステップ形式で段階を踏み少しずつ社会に慣れていくことを目指しましょう。
いきなり、社会復帰してもさまざまな困難に直面してしまい、またニートに戻ってしまうケースなども考えられます。
SETP1:生活習慣から改善してみる
ニート生活が長いと寝る時間がバラバラだったり、そもそも外出機会が少なくなっていることも。
仕事を開始するためにもまずは生活習慣の見直しがおススメです。
◇時間を決めて生活する
仕事を始める場合、その仕事ごとの就業時間が決まっています。
多くの仕事では朝に出勤して、夜に帰宅する生活になると思います。
昼夜逆転している人であれば、夜23時に寝て朝7時に起きる週間から始めてみることがおススメです。
◇外出することを心がけよう
まず外出を増やして太陽の光を浴びましょう。
人は太陽の光を浴びることでビタミンDを生成しています。
ビタミンDは免疫力の維持に欠かせないビタミンで、アメリカやヨーロッパでは病気予防として積極的に補充する動きも。
また、太陽の光は体内時計を整える働きもあり、夜型にズレた体内時計をリセットする働きもあります。
◇健康に気をつかおう
生活が不規則な人は食事をとるタイミングがバラバラの傾向があります。
まずは朝起きて、一日三食の食事をとりましょう。
ただ、一日三食だからといってラーメン、かつ丼、ハンバーグ、といった食生活では栄養が偏ります。
スーパーへ外出し、お惣菜を購入することで食生活のバランスを維持しましょう。
また、スーパーやコンビニへの買い出しも歩いていくことをおススメします。
近所や少し離れた場所に公園や商業施設などがあるのであれば、歩いて行くことでウォーキングにもなります。
ニートやフリーター向けの昼夜逆転生活の直し方はこちらでも詳しく解説しています。
STEP2:社会復帰を目指してみる
昼夜逆転のニート生活から段々と朝起きる生活にすることができたのならば、支援サービスを利用してみることもおススメです。
ニートから抜け出すための支援サービスを国や各地方団体が用意しています。
◇地域若者サポートステーション(通称サポステ)
地域若者サポートステーション(通称サポステ)は働くことに踏み出したい方に向けた支援サービスとなっています。
総利用件数も435,468件と多くの利用実績があります。
また、身近で相談できる機関を目指しているため、各都道府県に必ず設置されています。
本人だけでなく、家族などからの相談も受け付けていて、卒業生のメッセージからも非常に満足度が高いことがわかります
◇ジョブカフェ
ジョブカフェは都道府県が主体的に設置する、若者の就職支援をワンストップで行う施設です。
若者が仕事を見つけるための様々なサービスを無料で提供しています。
各都道府県ごとの特色を活かした就職セミナーや職場体験、カウンセリングや職業相談、職業紹介などを行っています。
また、保護者向けのセミナーも実施。
◇わかものハローワーク
わかものハローワークは全国25か所にあり、正社員就職を目指すおおむね35歳未満の方を対象としたサービスになります。
専門の就職支援ナビゲーターがマンツーマンで就職活動をサポート。
職業相談・職業紹介、応募書類の添削、セミナーへの参加など、様々なサービスを無料で受けることができます。
STEP3:アルバイトから始めてみる
いきなり就職するのは難しいかも…。そんな風に考える人はアルバイトや派遣のお仕事からステップアップしてみてはいかがでしょうか。
もしアルバイトを始めるのであれば、日中の時間帯のお仕事に申し込むようにしましょう。
確かに深夜のアルバイトの方が時給はいいですが、あくまで就職に向けたステップアップなので、将来の就職を考えたアルバイト先を選びます。
おススメとしては飲食店や居酒屋といった接客業です。
目指す就職先にもよりますが、接客業をしておくことで、お客様だけでなく一緒に働く仲間とのコミュニケーションの練習にもなります。
また、すでにアルバイト経験がある方は派遣でのお仕事を探してみるのも一つです。
SETP4:資格取得や職業訓練を試してみる
アルバイトや派遣の業務によって働くことになれてきたらそろそろ就職を考える時期を迎えてきます。
就職を考えたときに、もう少し職業スキルを身に着けたいと考える人に向けたサービスとして職業訓練があります。
それがハロートレーニング(職業訓練)です。
休職中の人が就職できるように仕事に必要な技術や知識を学ぶことができる制度です。
ハロートレーニング(職業訓練)は大まかに分類すると2種類に分かれていて、「求職者支援訓練」と「公共職業訓練」があります。
設けられているコースも様々あります。
・IT系
・事務系
・介護、福祉系
・工業系
など、詳しい内容をさらに調べたい場合は下記から検索することが可能です。
職業訓練 ハローワーク検索サービス:https://www.hellowork.mhlw.go.jp/kensaku/GECA150010.do?action=initDisp&screenId=GECA150010
ハロートレーニング(職業訓練)の最大の特徴は金銭面で大きな負担がかからないところです。
民間のスクールではマンツーマン形式や、授業外での質問を受け付けているケースも。
ニート期間がどれくらいなのか? 自身の年齢は? など、自分に合った支援サービスを受けることをおススメします。
STEP5:派遣、契約社員に挑戦
雇用が安定していないイメージがある派遣や契約社員ですが、キャリアアップを考えるうえで最適なケースもあります。
派遣や契約社員は期間が決まっていることが多いため、「計画立てて働くことができる。」という考え方もできます。
しっかりと準備をして計画を立てることが大切に。
焦って就職先を決めてしまい、就職した先の企業がブラック企業でなかなか辞めさせてもらえない…。といったケースもあります。
それならば、派遣や契約社員といった雇用形態を活用し、機関を定めて身に着けていくスキルを明確にして就業していくことをおススメします。
スキルが身についたのであればスキルアップのため、また別の派遣や契約社員として就業していく。
そして、最終ゴールとして正社員採用を目指すことがステップアップへとつながります。
SETP6:就職サービスを使って正社員就職
ニート向けの支援サービスは世の中にいくつかあります。
年齢や今までの正社員経験歴など、あなたの状況によって利用できる就職支援サービスが異なってきます。
◇未経験向けで働きながら経験と実績を得られる就職支援サービス
Actbiz(アクトビズ)は、契約社員として働きながらスキルや経験を獲得し、就職までをサポートしている就職支援サービスです。
20代向けのサービスで、契約社員期間中も専属のスタッフがいつでもサポートしてくれています。
●大学中退からActbizで就職に成功した眞方さんのインタビュー記事
◇正社員経験の少ないニート向けの就職支援サービス
ハタラクティブは、ニートなどの未経験OKな企業を取り扱っている20代向けのサポートをメインに行っている就職支援サービスです。
早ければ2週間で内定を獲得できることも。
履歴書、職務経歴書の添削から面接対策まで、内定に向けたサポートをしてくれます。
◇正社員経験のあるニート向けの就職支援サービス
リクルートエージェントは、国内最大級の転職エージェントです。
20代~50代までと幅広い求人を取り扱っており、保有求人は最多となっています。
非公開求人10万件からエージェントが一緒に見つけ出してくれます。
まとめ
今回はニートのすべてを完全解説しました。
みなさんが思っているニートの印象と、大きな違いはありましたでしょうか。
知人にニートがいるなど、身近な存在でない限りニートの存在は意識しづらいと思います。
しかし、彼らは決して存在しないわけではありません。また、現状何とかしたいと思っているニートも多いです。
この記事がそんなニートに寄り添いたいと思ってる人から、なんとかニートを脱出したいと考える人まで幅広い人たちの一助になれば幸いです。