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2022.05.25 最終更新

2022.05.25

「正社員登用あり」の実態。非正規雇用でもずっと働いていれば正社員になれるって本当ですか?

「正社員登用実績あり」「正社員登用制度あり」などと書かれた求人広告を見たことはありますか? アルバイトや派遣社員、契約社員などの非正規雇用の求人で見かけるこの文句。実際には正社員登用してもらえるのでしょうか。今回は法律面から正社員登用の現在の実態を解説していきます。
Contents

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1.「正社員登用あり」って何ですか?

「正社員登用あり」はアルバイトや契約社員、派遣社員などの非正規雇用の求人広告などでよく見かけるうたい文句の一つです。

「正社員」以外で雇用した場合でも、条件次第では「正社員」になることできることをアピールしたい場合に企業は、このうたい文句を使用するケースが多いです。

しかし、「正社員登用あり」で検索をかけてみると、

 

「正社員とは名ばかりでずっと非正規雇用」

「正社員登用につられて入社したけど、数年で契約解除された」

 

などの声も見かけることができます。

「正社員登用あり」の実態はどのようなものなのでしょうか。

 

正社員登用って言われても、釣り文句みたいでいいイメージないなぁ
以前まではそういう面もあったけど、今は法律が変わったんだ。詳しく解説していくね。

 

2.「正社員登用」を推奨することは国に義務付けられています

実は非正規労働者を積極的に正規労働に転換すること推進する措置を国は義務付けています。

『パートタイム・有期雇用労働法』とよばれるもので、2021年4月1日から中小企業にも適用されています。

実際の法律で該当する箇所は短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律は下記になります。

 

第三条 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者について、その就業の実態等を考慮して、適正な労働条件の確保、教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善及び通常の労働者への転換(短時間・有期雇用労働者が雇用される事業所において通常の労働者として雇い入れられることをいう。以下同じ。)の推進(以下「雇用管理の改善等」という。)に関する措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図り、当該短時間・有期雇用労働者がその有する能力を有効に発揮することができるように努めるものとする。

 

法律用語や難解な言葉が多くわかりにくいかもしれませんが、要約すると

 

「非正規雇用の労働者の待遇の改善と正規雇用を積極的に行わないといけない」

 

ということが書かれています。

そのため、たとえ「正社員登用」を掲げていない企業であっても「正社員登用」を推進することは義務であるといえます。

現在ほぼすべての企業で「非正規社員の正社員登用」に取り組むことに努めることが義務であることから、わざわざ「正社員登用があること」は以前より強力にアピールする内容ではなくなってきました。

 

とはいえ、中小企業ではまだまだ取り組むことに努めることが義務とされてから日が短いのも事実です。

実際に「正社員登用の実績がある」というのは一つの情報として参考にはなるでしょう。

 

企業はしっかりと正社員登用に取り組まないといけないことが法律で決まったんだ

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3.「無期雇用」への転換は法律で決まっている

期間を定められた雇用形態のことを有期雇用。

たいして、期間を定めない雇用形態のことを無期雇用と呼びます。

厳密には異なるのですが、正社員が無期での雇用であることが多いため無期雇用にする際に正社員雇用とする企業も多いです。

※非正規の無期雇用という雇用形態も存在しますが、全国的には少数です。

 

そして実はこの「無期雇用」法律で一定期間はたらいた有期期間契約の労働者を無期期間契約に変更して雇用しなければならないことが法律で決められています。

法律の該当する箇所、平成 25 年4月1日に施行された改正労働契約法の十八条には下記のように記されています。

 

第十八条 同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。

 

法律用語や難しい単語が多く何を言っているかわかりにくいですよね。

これを具体的に図にすると以下のようになります。

※タップで拡大

更新を重ねる形で同じ場所で通算5年間、非正規雇用として働くと次の更新時に無期転換申込みが可能になります。

雇用主側は基本的にこれを断ることができないこととなっており、この申込があってから1年後に無期雇用に雇用形態を転換しないといけません。

 

もちろん、気になる点としてこれを悪用して5年になるまえに企業が雇い止めするケースも考えられます。

ただ、無期雇用での転換をしたくないがために雇い止め前に雇用契約を解除することがわかったことから訴訟につながったことも。

そのため、企業側も好んでそのような手を使うことはなくなってきています。

 

有期雇用を5年つづけたら、無期雇用で企業は雇わないといけないんだね

 

ただ、自分から無期雇用に変更したい旨を企業に伝えないといけないから注意してね

 

4.正社員のメリット・デメリットを把握して登用制度を利用しよう

正社員登用制度を使い正社員になることは法律によってハードルは低くなっています。

しかし、条件がそろったとはいえ、必ずしも正社員登用制度を使用することが正解の選択肢かというとそういうわけではありません。

特に昨今は同一労働・同一賃金の考え方も浸透してきました。

非正規雇用の状態でも環境によっては満足行く働き方も検討できるようになりつつあります。

働くにおいて、自分が重視する項目を比較して、自身が納得行く働き方がどのようなものなのかを腰を据えて考えることが理想的です。

 

5.「正社員登用あり」の企業を見極めよう

先述の通り、正社員登用制度はどの企業も導入しないといけない時代となりました。

とはいえ、施行されてまだまだその制度が根付いていない側面もあります。

中小企業においては、実際に下記項目をチェックすることで「正社員登用」が実際に行われているかを確認することができます。

 

 

・実際に、正社員雇用された非正規社員が存在するか

・登用試験や面接などの具体的な正社員雇用への道筋が用意されているか

・正社員登用されるのに必要なスキルや資格が明示されているか

・正社員希望の旨を伝える窓口が用意されているか

・就業規則に正社員登用に必要な項目が明記されているか

 

現在勤務している場所で、本当に正社員登用が行われているのかどうか不安な場合は、各項目が存在しているか調べてみましょう。

 

まとめ

非正規雇用は身軽に働けますが、将来のことを考えると正規雇用で働きたいと思う人も多いかと思います。

現在、国は法律などで、より正規雇用で働きやすい環境を用意しています。

しかし、働き方改革などもあり、多様な働き方ができるようになっています。

重要なのは自分が納得できる仕事へ就職できることであることを忘れないようにしましょう。

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