2022.06.29 最終更新
大学中退からの就職は厳しいって本当?|大学中退すると後悔することになるワケとは
今回は実際に後悔することになった人の声をご紹介しながら、大学中退することで就職にどのような影響がでてくるのか解説いたします。
・大学中退者の最終学歴は「高卒」となる
・大学中退者はアルバイトに精を出してしまいがち
・大学中退を後悔しないためにも友人や親、支援サービスに相談しておくことがおすすめ
1.なぜ大学中退からの就職は厳しいのか
大学を中退してしまうと最終学歴が「高卒」となってしまうためです。
大学を1年生で中退していようと3年生で中退していようと世間から見た最終学歴は「高卒」なってしまいます。
求人票の募集要項に「大卒以上」を条件としている会社が多くあり、大学卒業の肩書を持っている人と比べると不利になる点が多くなります。
そのため、「大卒」の肩書を獲得することを目的としてとりあえず単位を取得していく学生も中にはいます。
大学中退者の総数は、回答した学生数206万6,387 人のうち、2.12%にあたる4万3,528 人となっています。
イメージとしては大学生100名あたり2名が中退していることになります。
文部科学省の「大学における授業料滞納・中途退学・休学の状況(2016年:大学調査の結果から)」(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/itaku/__icsFiles/afieldfile/2016/08/02/1371455_2.pdf)
大学中退者の割合も2%と聞くと思っていたよりは少ない印象なのではないでしょうか。
2.中退した人は何をしている?
大学を中退する人の理由として、学校の雰囲気が合わないことや人間関係がうまくいかなかったりと、環境に関する理由が大半を占めています。
そういった理由から大学を中退する人は、中退後にアルバイトを続けたり、アルバイト先を増やしたりとアルバイトが中心の生活になる方が多いです。
アルバイトが中心の生活をしている人は、生きていくうえで困ることが少ないためアルバイト生活を続けがちとなります。
また、中には大学を中退して自分が挑戦したい道に進む人もいます。学び直しをして公務員を目指す人もいます。
次を決めてから大学を中退する人は行動が明確になっているため、目標に向かいながらアルバイトをしているケースが多いですが、
漠然と大学を中退してしまった人は惰性で日々生活を送っている傾向にあり、いざ就職となったとき困りがちに。
3.実際に大学中退して後悔した人の声
大学中退で後悔するかどうかは人によって異なります。
中退で後悔する人としない人の1番の違いは、中退後の進路が決まっているなど、ポジティブな理由を持っているかどうかです。
たとえば、「すでに正社員で採用されることが決まっている」といった理由であれば、特に問題ありません。
なぜなら、就職してしまえば学歴は関係なくなるからです。
実際、独立行政法人の労働政策研究・研修機構の調査において、「中退時に抱いた悩みや困難さ」という質問に対し、以下のような中退者の回答があります。
“正社員で働くことが決まってた為、特になしです。(男性/27 歳/大学)”
引用元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構|大学等中退者の 就労と意識に関する研究 P179(https://www.jil.go.jp/institute/research/2015/documents/0138.pdf)
一方で、「勉強についていけない」とか「人間関係が悪い」といったネガティブな理由で中退する人は、後悔することが多いようです。
“今後の進路について、自分がこれからどうしていけばいいのか考えがつかなかった。単位不足の為中退後の目的もなしに中退してしまった為、本当は大学も続けて卒業したかった。明日に恐怖を感じるようになり、中退した後悔をなかなか受け止められなかった。(男性/22歳/大学)”
引用元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構|大学等中退者の 就労と意識に関する研究 P86(https://www.jil.go.jp/institute/research/2015/documents/0138.pdf)
“友人との人間関係や、親との人間関係にとても悩んでいた。これで良かったのかと何度も思った。(女性/25 歳/短大・高専)”
引用元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構|大学等中退者の 就労と意識に関する研究 P174(https://www.jil.go.jp/institute/research/2015/documents/0138.pdf)
4.実際に大学中退を後悔するタイミング
ここでは、大学中退後に後悔する4つのタイミングを紹介します。
ネガティブな理由で中退してしまった方は、以下のようなタイミングで後悔することがあります。
・就職時など学歴を求められるとき
・親との関係が悪くなったとき
・親が払った学費の総額を知ったとき
・大学中退後にフリーターになってしまったとき
1つ目は、はっきりとした進路を決めずに中退して、フリーターになってしまったときです。
フリーターになると、自己肯定感が低くなってしまうことがあります。
そういった人は、中退してフリーターをしている現状を恥ずかしく思い、友人などと会うのを避けてしまうようです。
実際、中退してフリーターになった人のうち、以下のような声があります。
“このままではろくに就職もできない。フリーターの肩書きが恥ずかしい。安定した立場になるまで知り合いに会いたくない。(女性/22 歳/大学)”
引用元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構|大学等中退者の 就労と意識に関する研究 P172(https://www.jil.go.jp/institute/research/2015/documents/0138.pdf)
・就職時など学歴を求められるとき
2つ目は、就職時など学歴を求められるときです。
企業の中には大卒以上を募集条件にするところもあります。
大学中退すると最終学歴が高卒になるため、そういった企業には応募できなくなってしまいます。
したがって、大卒者よりはどうしても就職活動の難易度が高くなってしまうので、「中退しなければよかった」と後悔する気持ちが出てくるかもしれません。実際、以下のような声もあります。
“経験や能力があっても大卒ではない為、応募出来ない事があった。経緯を説明しても、中退を理由に不採用とされた。資格取得時に条件が不利で選択の幅が狭まる。書類審査を通過出来ない事が多い。(男性/32 歳/大学)”
引用元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構|大学等中退者の 就労と意識に関する研究 P105(https://www.jil.go.jp/institute/research/2015/documents/0138.pdf)
・親との関係が悪くなったとき
3つ目は、大学中退により親との関係が悪くなったときです。
事前に親としっかり話し合わず、理解を得られないまま中退する人も少なくありません。
そのように無理やり中退して親との関係が悪化すると、「ちゃんと話し合えばよかった」と後悔の念が生まれるかもしれません。
特に中退した後も実家で暮らす場合、親との関係が悪いと精神的に辛い状況が続くことになります。
実際の声を以下に示します。
“家族や親族の理解を得られず孤立、精神的に追い詰められた。順調な友人に会うのが恐ろしくなり引きこもりがちになった。周囲の目を過度に気にするようになった。(男性/32 歳/大学)”
引用元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構|大学等中退者の 就労と意識に関する研究 P86(https://www.jil.go.jp/institute/research/2015/documents/0138.pdf)
・親が払った学費の総額を知ったとき
4つ目は、親が払った学費の総額を知ったときです。
大学へ行くためには多くの費用がかかります。文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」における平成30年のデータによれば、国立・公立大学の1年間の授業料は約50万円、私立大学であれば約90万円です。
したがって大学へ4年間通うとすると、200万円以上の費用がかかることになります。また約30~40万円の入学金や、教材費などもあるため、総額はさらに増加します。
このように、大金を払ってまで大学へ行かせてくれたことを知り、申し訳ないと感じる人もいるようです。実際に、以下のような声があります。
“学費を出してもらった親への申し訳ない気持ち。入学する前にしっかり考えて入学すべきと思った。(男性/28 歳/大学)”
引用元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構|大学等中退者の 就労と意識に関する研究 P175(https://www.jil.go.jp/institute/research/2015/documents/0138.pdf)
5.大学中退を後悔しないための4つのポイント
・大学中退後の進路を決めておく
1つ目は、大学中退した後の進路を決めておくことです。
中退後の進路が何も決まっていないと、その後の道が分からず途方に暮れてしまうからです。
やることを見つけられずに、とりあえずフリーターになる人もいます。
しかし、フリーターの期間が長くなるほど、そこから抜け出すことが難しくなってしまいます。
実際、労働政策研究・研修機構の調査によると、以下のグラフの通り、フリーター期間が長くなるほど正社員雇用率が下がっています。
出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構|大都市の若者の就業行動と意識の分化 P128(https://www.jil.go.jp/institute/reports/2017/documents/0199.pdf)
したがって中退するのであれば、就職活動のスケジュールをある程度決めておくのがおすすめです。
なお進路を考える上では、大学の学生支援コーナーなどを利用するといいでしょう。
中退後の進路について的確なアドバイスを受けられるので、中退する前にある程度のスケジュールを立てられます。
実際に学生支援コーナーが役立った人の声を以下に示します。
“中退時専用の学生支援コーナーが設けられているのは、経験不足を補う、学歴不問の職業先を見つけてくれる、手助けをしてくれることはとても助かりました。また、職務経歴書の作成方法や添削も、今後の就職活動に向けてとても参考になりました。(21 歳・男性)”
引用元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構|大学等中退者の 就労と意識に関する研究 P186(https://www.jil.go.jp/institute/research/2015/documents/0138.pdf)
・就職時に不利になる覚悟を持っておく
2つ目は、就職時に不利になる覚悟を持っておくことです。そうすれば就職時に学歴を求められた際にも、後悔する気持ちを抑えられるでしょう。
前述したように、大学中退すると最終学歴が高卒になり、就職時の選択肢が狭まってしまいます。
また企業側から、中退者に対して「嫌になったらすぐに辞めてしまうのではないか」といった、ネガティブな印象を持たれることもあります。
もし中退するのであれば、このような部分で就職に影響が出てしまうことは覚悟しておきましょう。
・親と話し合って理解を得ておく
3つ目は、大学中退する前に親と話し合って、理解を得ておくことです。
親が理解者になってくれれば、辛いときでも精神的に支えてくれたり応援してくれたりするので、気持ちが楽になるからです。
親に理解してもらうためには、少なくとも「中退理由」と「中退後の進路」はしっかり説明しておきましょう。
この2つがはっきりしていないと、親に納得してもらうのは難しいためです。
中退する前にきちんと話し合っておけば、親との関係悪化は防げます。ぜひ事前にやっておくことをおすすめします。
・生活や就職活動に必要なお金を用意しておく
4つ目は、しばらく生活できるくらいの貯金を行っておくことです。
大学中退すると、それまで親が払ってくれた学費を無駄にしてしまうことになります。
それにもかかわらず、中退後も金銭面で親に頼ってしまうと、ますます引け目を感じてしまうでしょう。
自分の生活や就職活動に必要なお金ぐらいは用意しておくことで、学費を工面してくれた親への申し訳なさや引け目が、すこしは和らぐはずです。
また、自分のことは自分で面倒を見るという姿勢を親に示すことで、中退することへの理解も得やすくなるでしょう。
6.大学中退からでもやり直せる知っておきたい選択肢
・公務員
大学中退者の中には大学中退したあとに公務員を目指す人もいます。
公務員は大きく国家公務員と地方公務員とに分かれていて、試験内容や難易度も変わってきます。
大学を中退して学び直して公務員を目指すのであれば地方公務員がお勧めです。
公務員に特化した専門学校に通うことで集中して公務員試験について学び、みごと公務員試験に合格している大学中退者もいます。
若いころの公務員の給料は民間と比べると高くはありません。
しかし、リストラや失業の可能性が低い点と、務める期間が長ければ長いほど給与が上がっていくという安心感があります。
また、実際に公務員として働いた後、民間企業に就職したいと考える方も少なくありません。
「長年、公務員として〇〇といった業務に従事していました。これからは自身のスキルアップと御社に△△の側面から貢献していきたいです。」のように面接でも話せる経歴を作っておくことが大切になるケースも。
・営業職
営業職はいまだにきついイメージがある職業の一つです。
しかし、営業職は学歴ではなく実際にあげた実績や数字を最重要視されます。
また他の職種と比較してもインセンティブなど、自身の頑張りが反映される要素が大きいです。
そのため大学中退で学歴に自信がなかったとしても、本人の実力次第で大いに稼ぐことも可能です。
・起業
起業して社長になってしまえば、学歴なんて関係ないという選択肢も存在します。
こちらの記事では高卒で起業したケースに関して解説をしております。
ですが、実際、大学中退から起業した場合に様々なハードルが発生します。
決して楽な道ではないですが、それでもやりたい事業があるなどの場合は、選択肢の一つとして考えてもいいかもしれません。
・Actbiz
弊社のサービスActbizを受講された眞方さんは現在、大手通信キャリアにて働いています。
Actbizを知った当時は大学三年生でした。
大学に入学したものの、音楽で食べていくことを諦めきれず大学を中退します。
そこから音楽に打ち込むも音楽だけで生計を立てていくことは難しく、たまに会う大学の友人から聞く「就職先どうする?」「エントリーシート書かなきゃ」そんな話を聞くたびに将来への不安が積み重なっていました。
そんな中、知人からの紹介でActbizを知ることに。
約一年間の就業経験とカリキュラム研修を学ぶことで2021年6月より誰もが知る大手通信キャリアへと就職をします。
今回は弊社サービス「Actbiz」の事例をご紹介しましたが、インターネットで探せば様々な支援サービスがあります。
自分に合ったサービスを探し、就職活動に役立ててみることもお勧めします。
まとめ|大学を中退していても諦めないことが大切
大学中退からの就職は厳しいのが現実です。しかし、就職できない訳ではありません。
大学を中退すると就職に関する情報が耳に入ってくる機会が減ってしまいます。
情報収集ができないと正しい現状把握ができません。
その結果、正しい対応策も打てなくなり、結果として就職がうまくいかず下を向いてしまい、さらに良い結果をもらえないという悪循環へとつながってしまうことも。
最終学歴が「高卒」であっても、成功事例でご紹介したように就職しているケースや公務員の道へ進んでいくケース等、情報を探し行動することが良い結果へとつながります。
対応策を考えるために現状把握することをお勧めしています。
現状把握すれば、大学中退者が面接の場で必ずと言っていいほど聞かれる大学の中退理由についてもどのように回答したら良いのか準備することができます。
大学中退者の就職状況は確かに厳しいですが、現実を把握し、受け止めながら前向きに行動し続けることが結果としてあなたのその後のキャリアにもつながってきます。
まずは一度どのような形でも社会に出て経験と実績を積み重ねていくことが大切です。
社会人経験ができてしまえば最終学歴「高卒」のあなた、ではなく前職でこういった業務を行っていたあなた、という肩書を手に入れることができます。
社会に出た後は、学歴フィルターはなくなっていきます。
そうなれば、後はあなた自身が任された仕事や業務についてどのように考え、工夫し、行動してきたかだけが問われるようになります。
大学中退で将来に不安を抱えている人こそ、支援してくれるサービスを活用しながら社会に出て活動してみることをお勧めします。